故人が亡くなって1年が経過した日にあたる一周忌。一周忌にはお供えものを持って故人の供養をする方も少なくありません。しかし、一周忌のお供ものはどのようなものが良いか迷うという方もまた多いのが現実です。

そこで今回は、一周忌に適切なお供えものと金額相場、熨斗の書き方などをご紹介します。

一周忌のお供えとは?

一周忌は、故人が亡くなって満一年を迎えた日に、家族や親族、友人など故人と特に親しかった人のみが参列して故人を偲ぶものです。一周忌に参列する場合、参列者の方々はお供ものを持参することがほとんどです。

一周忌におけるお供ものは地域のしきたりに従う場合もありますが、地域によっては特に決まりがない場合もあります。決まりがない場合、どのようなものをお供ものとして持参すれば良いか迷う方もいるでしょう。

本記事で、最適な一周忌のお供物を把握しましょう。

一周忌のお供え|金額相場

一周忌のお供物の金額相場は、香典を包むか否かによって異なります。

まず、香典を包む場合は3,000〜5,000円が相場です。これは、香典とお供物を合わせて1万円が費用相場だからです。お供物の金額が高くなる場合は、連名で用意して香典を個人で準備しても構いません。

次に、香典を包まない場合は5,000〜10,000円が相場です。この場合、故人との関係性によって金額が変動し、親族であれば10,000円程度、友人や知人であれば5,000円程度が一般的です。

ただし、上記の金額はあくまでも相場であるため、周囲に相談して他の参列者と同じ金額のお供物を準備すると良いでしょう。

一周忌のお供え|基本は五供(ごくう)をあらわす品

一周忌のお供え物は、五供を表す品が基本です。五供とは、飲食・花・灯り・香り・水のことで、「消え物」を渡すことがマナーです。ただし、地域によってお供え物にもしきたりがあるため、その地域にお供物のしきたりがないかを事前に確認し、地域のしきたりに従うようにしましょう。

また、お供え物の代わりに香典のみを包む場合もあります。

菓子折り|クッキー・まんじゅう・ゼリーなど

五供の「飲食(おんじき)」にあたる菓子折りは、日持ちするものを選びましょう。また、日持ちすると共に個包装ですと、お裾分けしやすくなるため喜ばれます。

日持ちして個包装のものであるとともに、遺族の方が好みや家族構成に適した菓子折りがベストです。例えば、和菓子を好まれる場合はお煎餅や饅頭など、洋菓子を好まれる場合はクッキーやゼリーなどがおすすめです。

生花|強い匂いを放たず、トゲのないもの

五供の「花」にあたる生花は、白い花や明るい花が適しています。特に、ピンク系や淡い紫は心が和む色であることから、故人が亡くなってからある程度の時間が経過した一周忌には喜ばれることが多いです。ただし、明るい色の花であっても、ビビットな色味は避けて淡い色味を選びましょう。

花の種類については、弔花ではないことから故人が好きだったものを選んでも問題ありません。故人が生前に花を好きだった場合は、特に好きな花を選ぶと良いでしょう。また、花のみではなくメッセージカードを添えることも可能です。

線香・ろうそく|煙が少なく、高級感のあるもの

五供の「香」にあたる線香や、「灯り」にあたるろうそくも一周忌のお供物として適しており、古くからお供物の定番の品として知られています。昔から線香やろうそくを贈るのは、線香は「香りで心身を浄化する」を意味し、ろうそくには「故人の進む道を明るく照らす」を意味するものだからです。

なお、線香やろうそくは実用的なものである必要はないため、高級な贈答用のものを選びましょう。この際、香りが良い線香や煙が少ないろうそくを選ぶとより良いです。

飲料品|小ぶりな容器

飲料品も一周忌のお供物として贈ることが可能です。飲料品を贈る際は遺族が運びやすく、場所を取らない小ぶりな容器の飲料品を選びましょう。

飲料品は、御茶やコーヒー、水、ジュースなど、故人が好きだったものを選ぶと良いですが、遺族の家族構成などから選んでも構いません。なお、一周忌の法要の後に食事の席が設けられている場合は、お供物として贈った飲料品をお出しすることもあります。お酒が飲めない人のことを配慮し、お酒は避けた方が良いでしょう。

また、法要を喪主の家ではなく会場やホテルで行う場合、飲料品の持ち込みを禁止されている場合があるため、事前に確認しておきましょう。

一周忌のお供えとして避けるべき品

一周忌のお供物は五供が基本ですが、以下の品を一周忌のお供物として贈ることは避けてください。

・高額商品または大型商品

・生の肉や魚または加工品

それぞれが一周忌のお供物として不適切な理由をご紹介します。

高額商品または大型商品

高額商品または大型商品は一周忌のお供物には不適切です。なぜなら、高額すぎると逆に遺族の負担になり、大型商品は持ち運びにくいからです。

お供物の値段は安すぎても失礼にあたりますが、高すぎてもお返しの際に親族の負担になりかねません。安すぎず、高すぎないお供物を選ぶようにしましょう。

また、お供物は参列者にお裾分けすることが多いです。そのため、サイズが大きすぎると持ち運びにくくお裾分けしにくくなります。お裾分けすることも考慮して、小分けにされているものを選びましょう。

生の肉や魚または加工品

生の肉や魚または加工品も不適切です。なぜなら、仏教において生の肉や魚または加工品は「なまぐさもの」と呼ばれており、殺生を想起させる肉や魚はマナー違反とされているからです。

故人が好きなものであっても、生の肉や魚または加工品をお供物として贈らないようにご注意ください。

また、香りがきつすぎる食べ物も避けるべきです。なぜなら、仏教では仏様は香りを食するとされているからです。食べ物を贈る際は、香りにも十分にご注意ください。

一周忌|お供えの熨斗(のし)書き

一周忌のお供物には、熨斗(のし)を付けます。一周忌に付ける熨斗は双銀の結び切りがプリントされたものを選びます。ただし、関西の一部地域では黄色と白の水引を使うことがマナーとされているため、地域のしきたりに合わせて熨斗を付けてください。

また、一周忌の熨斗の表書きには、上部中央に「御供物」または「御仏前」、その下に贈り主の名前を書きます。夫婦で贈る場合は連名で書きましょう。

なお、カゴに盛られた果物を贈る際は通常の熨斗を付けられないため短冊ののし紙を使い、水引の代わりに白と黒のリボンを付けてください。

一周忌のお供えとして、現金を渡す場合

一周忌のお供物には、食べ物や線香、ろうそくだけではなく現金を渡すこともできます。そこでここからは、お供物料の金額相場と渡し方をご紹介します。

お供物料の金額相場

お供物料の金額相場は、会食の有無や故人との関係性によって異なりますが、お通夜や葬儀に参列した際に包んだ香典の5〜7割程度が目安です。具体的に、故人との関係性別のお供物料の金額相場は以下の通りです。

・親子や夫婦 2万円〜3万円

・親戚 5,000〜10,000円

・知人や友人 3,000〜10,000円

・会社の上司や同僚 5,000〜10,000円

また、会食がある場合は上記の金額に会食費も上乗せして包みます。会食費は、会食場所によりますが5,000〜10,000円程度が相場です。

お供物料の渡し方

お供物料を包む不祝儀袋の表書きには、宗派によって異なりますが仏式の場合は「御供物料」や「御香料」と書きます。さらに中袋には包んだ金額、贈り主の住所と名前を書きます。中袋がない不祝儀袋を使用する場合は、外包みの水引の下に氏名、裏面の左側に住所と金額を書いてください。

なお、お供物料を渡すタイミングは、法事が始まる前の喪主への挨拶時です。この際、直前に袱紗から取り出して表書きを喪主の正面に向けてお渡しください。

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