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墓じまい・改葬・再火葬の手続き完全ガイド|費用・流れ・注意点まとめ

「お墓を守る人がいない」「遠方のお墓の管理が大変」など、様々な理由で墓じまいや改葬を検討される方が増えています。しかし、手続きが複雑で、何から始めれば良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、墓じまい、改葬、再火葬の手続きについて、費用や流れ、注意点などを分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたも安心して、自分らしい供養の形を実現できるでしょう。

1. 墓じまい・改葬・再火葬とは?それぞれの違いを理解しよう

近年、「墓じまい」「改葬」「再火葬」という言葉を耳にする機会が増えています。これらの手続きは、お墓の継承者がいない、遠方で管理が難しい、経済的な負担を減らしたい、ライフスタイルの変化など、様々な理由から検討される方が増えています。しかし、それぞれの意味や手続き、費用、必要書類などが複雑に感じられ、何から手をつければ良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、墓じまい、改葬、再火葬の基本的な定義と、それぞれの違いを明確に理解することから始め、後悔しないための第一歩を踏み出しましょう。

墓じまい・改葬・再火葬の主な違い

項目墓じまい改葬再火葬
目的墓石を撤去し、墓地を更地に戻して契約を終了すること遺骨を現在のお墓から別の場所へ移すこと遺骨を一度火葬した後、再度火葬すること
主な行為墓石の撤去、墓地の返還遺骨の移動、新しい納骨先の確保遺骨の再火葬(通常は一度しか行われない)
伴う可能性のある手続き閉眼供養、墓石撤去工事、墓地管理者への解約手続き埋葬証明書・改葬許可証の取得、受入証明書の取得、納骨手続き火葬許可証の取得、火葬場の予約
費用の例墓石撤去費用、閉眼供養のお布施遺骨の取り出し費用、輸送費用、新しい納骨先(永代供養料など)再火葬費用、火葬許可証取得費用

このように、それぞれ目的や行為が異なります。次章からは、これらの手続きを具体的にどのように進めていくのか、詳しく解説していきます。

2. 墓じまいの手続きの流れ

墓じまいや改葬の手続きは、いくつかのステップを踏む必要があります。特に、親族への相談や行政への申請など、事前に確認・準備すべきことが多く、スムーズに進めるためには全体の流れを把握しておくことが重要です。ここでは、ご遺骨の取り出しから新しい納骨先への納骨まで、一般的な手続きの流れをステップバイステップで解説します。各ステップで必要なことや注意点を理解することで、安心して手続きを進めることができるでしょう。

2-1. 埋葬されているお墓の確認

墓じまいを進めるにあたり、まず現状のお墓の状況を正確に把握することが不可欠です。具体的には、お墓の管理者(霊園や寺院など)に連絡を取り、墓地の使用規則や、墓じまいに関する規定、必要な手続きなどを確認しましょう。また、墓石の所有権や、墓石の撤去に関する取り決めなども事前に確認しておくことが大切です。これらの確認を怠ると、後々トラブルの原因となる可能性があります。

2-2. 親族との相談

墓じまいは、ご先祖様や親族に関わる大切な事柄です。そのため、墓じまいを進める前に、必ず親族(配偶者、子、兄弟姉妹など)へ丁寧に説明し、理解と同意を得ることが極めて重要です。突然の報告や一方的な決定は、親族間の関係悪化を招く可能性があります。相談の際は、墓じまいを検討するに至った理由や、今後の供養の形について具体的に説明し、納得してもらえるよう努めましょう。もし、反対意見がある場合は、その理由をしっかりと聞き、可能な限り歩み寄れる点を探ることが大切です。

2-3. 墓石の撤去・閉眼供養

墓石の撤去作業は、専門の石材店や墓じまい代行業者に依頼するのが一般的です。撤去作業を依頼する際には、複数の業者から見積もりを取り、作業内容や費用を比較検討することをおすすめします。また、墓石を撤去する前には、「閉眼供養(へいがんくよう)」または「魂抜き」と呼ばれる法要を行うのが慣習です。これは、墓石に宿るとされるご先祖様の魂を抜き、石塔をただの石に戻すための儀式です。閉眼供養は、菩提寺の住職や、お世話になった寺院の僧侶に依頼します。お布施の金額は、地域や宗派、僧侶との関係性によって異なりますが、一般的には数万円程度が目安とされています。事前に住職に相談し、金額を確認しておくと良いでしょう。

2-4. 改葬許可証の取得

改葬許可証は、現在のお墓からご遺骨を取り出し、他の場所へ移す(改葬する)ために、管轄の役所(市区町村役場)から発行してもらう必要がある証明書です。この許可証がないと、ご遺骨の取り出しや新しい納骨先への受け入れができません。申請には、現在のお墓がある地域の役所(またはその役所が指定する窓口)に、「改葬許可申請書」を提出します。申請書には、現在のお墓の場所、改葬先の情報などを記入します。また、多くの場合、現在のお墓の管理者(寺院や霊園の管理者)が発行する「埋葬証明書」や「受入証明書」(新しい納骨先の管理者から発行してもらう)などの添付書類が必要となります。申請から許可証の発行までには数日から1週間程度かかる場合があるため、余裕をもって手続きを進めましょう。

2-5. ご遺骨の取り出し・再火葬(必要な場合)

改葬許可証が発行されたら、いよいよ墓石からご遺骨を取り出します。ご遺骨の取り出し作業は、石材店や専門業者に依頼するのが一般的です。ご遺骨は骨壺に納められた状態で埋葬されていることがほとんどですが、長年の経過により劣化している場合もあります。取り出したご遺骨は、新しい納骨先へ移すことになりますが、新しい納骨先によっては、ご遺骨を再度火葬する必要がある場合があります。例えば、火葬されていない土葬のご遺骨を改葬する場合や、納骨先の規定で火葬証明書が必要な場合などが該当します。再火葬が必要な場合は、火葬場や葬儀社に相談し、手続きを進めてください。

2-6. 新しい納骨先への納骨

新しい納骨先が決まったら、そこでの受け入れ手続きを行います。永代供養墓、樹木葬、納骨堂、手元供養など、選択肢は多岐にわたります。それぞれの納骨先には、受け入れ条件や管理規則がありますので、事前にしっかりと確認しておきましょう。新しい納骨先へご遺骨を納める際には、納骨の儀式を行うことが一般的です。納骨の儀式は、新しい納骨先の管理者や、依頼した僧侶と共に執り行われます。納骨が終わったら、改葬手続きは完了となります。新しい納骨先での供養の形に沿って、今後のお参りや管理を行っていくことになります。

3. 改葬に必要な費用

墓じまいや改葬には、さまざまな費用がかかります。墓石の撤去費用、閉眼供養のお布施、新しい納骨先の費用など、項目ごとに費用相場を把握し、内訳を理解しておくことが大切です。また、費用を抑えるためのポイントや、予期せぬ追加費用を防ぐための注意点についても解説します。総額でどのくらいの費用がかかるのか、事前にシミュレーションできるように、詳細な情報を提供します。

3-1. 墓石の撤去費用

墓石の撤去費用は、墓地の広さや墓石の大きさ、材質、立地条件などによって大きく変動します。一般的には、1平方メートルあたり5万円~15万円程度が相場とされていますが、個別見積もりが一般的です。この費用には、墓石の解体・撤去作業、重機やクレーンなどのレンタル費用、廃材の運搬・処分費用、人件費などが含まれます。

墓石の撤去後、墓地の更地化(整地)まで含めるかどうかで費用が変わることもあります。また、墓地によっては、指定業者以外による作業を禁止していたり、管理費として別途費用が発生したりする場合があるため、事前に墓地管理者に確認することが重要です。

3-2. 閉眼供養・開眼供養のお布施

墓石を撤去する前には、それまでご遺骨を守ってくださった仏様(ご先祖様)に感謝し、魂を抜いていただく「閉眼供養(へいがんくよう)」、または「抜魂供養(ばっこんくよう)」を行います。この際、僧侶へのお礼として「お布施」をお渡しします。お布施の金額に決まりはありませんが、一般的には3万円~5万円程度が目安とされています。ただし、菩提寺(檀那寺)や宗派、地域、僧侶との関係性によって異なります。

一方、新しい納骨先に納骨する際には、ご遺骨をお迎えするための「開眼供養(かいがんくよう)」、または「納骨式」を行うことが一般的です。この際にも、僧侶へのお布施が必要となり、閉眼供養と同様に3万円~5万円程度が目安となります。お布施の他にも、お車代(僧侶が自宅から寺院まで移動した場合)や御膳料(会食の席を設けない場合)を別途お渡しすることもあります。

3-3. 遺骨の取り出し費用

墓石からご遺骨を取り出す作業自体にかかる費用は、墓石の構造やご遺骨の数、納骨されている場所(カロートなど)によって異なります。数千円から数万円程度が一般的です。この作業は、石材店や墓じまい代行業者に依頼することが多いです。ご遺骨の数が多い場合や、取り出しにくい場所に納骨されている場合は、費用が高くなる傾向があります。また、永代供養墓や納骨堂など、墓石がない場所から改葬する場合は、この費用は発生しません。

3-4. 再火葬費用

墓じまいをして取り出したご遺骨を、新しい納骨先(永代供養墓、納骨堂など)に納骨する前に、再度火葬する必要がある場合があります。これは、ご遺骨の状態や、新しい納骨先の受け入れ条件によって異なります。例えば、粉骨して手元供養にする場合や、海洋散骨する場合など、ご遺骨の形状を変えるために再火葬を選択することがあります。再火葬の費用は、自治体や火葬場によって異なりますが、1体あたり数万円程度が目安となります。

3-5. 新しい納骨先の費用(永代供養料など)

改葬先の選択肢は多岐にわたります。それぞれの費用相場は以下の通りです。

費用項目相場(目安)備考
永代供養墓(集合墓)10万円~50万円(一人あたり)骨壺のまま、または粉骨して個別に一定期間安置後、合祀されるタイプ。管理費は不要な場合が多い。
樹木葬(個別・集合)15万円~80万円墓石の代わりに樹木を墓標とする。個別区画の場合は費用が高め。管理費がかかる場合がある。
納骨堂(ロッカー型・仏壇型)30万円~100万円(一人あたり、または一区画)屋内に遺骨を安置する形式。屋内管理のため費用は高めになる傾向。管理費が別途かかる場合が多い。
海洋散骨10万円~40万円(一基あたり)沖合でご遺骨を海に撒く。散骨ツアーやチャーター船など。粉骨費用が含まれる場合と別途必要な場合がある。
手元供養(ミニ骨壷、アクセサリー)数万円~数十万円ご遺骨の一部または全部を自宅で保管する。ミニ骨壷や、遺骨を加工したアクセサリーなど。
永代供養料永代供養墓の費用に含まれることが多い永代にわたり供養してもらうための費用。
管理費年額5千円~2万円程度永代供養墓、樹木葬、納骨堂などでかかる場合がある。
合祀料5万円~15万円程度永代供養墓などで、最終的に他のご遺骨と一緒に埋葬(合祀)される際にかかる費用。

これらの費用はあくまで目安であり、立地条件やサービス内容によって大きく異なります。複数の業者や霊園から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

3-6. その他の費用

上記以外にも、以下のような費用が発生する可能性があります。

  • ご遺骨の運搬費: 新しい納骨先までご遺骨を運ぶための費用です。距離や方法(郵送、自家用車、専門業者)によって異なります。
  • 行政手続き費用: 改葬許可証の発行手数料などがかかる場合があります。自治体によって異なりますが、数百円~数千円程度です。
  • 石材店への管理費: 墓石の管理を石材店に委託している場合、年間管理費がかかることがあります。墓じまいにより不要になる場合もあります。
  • 墓じまい代行サービス利用料: 手続きや業者手配などを一括して代行してもらうサービスを利用する場合、別途手数料がかかります。数万円~十数万円程度が目安です。
  • 法要費用: 新しい納骨先での法要(納骨式、年忌法要など)にかかる費用です。お布施、会食費などが含まれます。

これらの費用も考慮に入れ、総額でどのくらいの費用がかかるのかを把握しておくことが、後悔しないための重要なポイントとなります。

4. 墓じまい・改葬の手続きに必要な書類

墓じまいや改葬を進める上で、行政や新しい納骨先から様々な書類の提出を求められます。特に「改葬許可証」は、お墓を移すために不可欠な書類です。ここでは、改葬許可証をはじめ、埋葬証明書、受入証明書など、手続きに必要な主要な書類とその取得方法、申請先について詳しく解説します。これらの書類を正確に準備することで、手続きを円滑に進めることができます。

4-1. 改葬許可証

改葬許可証は、現在のお墓からご遺骨を取り出して他の場所へ移す(改葬する)ために、お住まいの市区町村役場から発行してもらう必要がある許可証です。この許可証がないと、ご遺骨の取り出しや新しい場所への納骨ができません。

申請方法と申請先:

  • 申請先: ご遺骨が埋葬されているお墓の所在地を管轄する市区町村役場の担当窓口(戸籍課や市民課など)です。
  • 申請方法: 役場に備え付けの「改葬許可申請書」に必要事項を記入し、後述する「埋葬証明書」などの必要書類を添えて提出します。

必要書類:

改葬許可証の申請には、一般的に以下の書類が必要です。

  • 埋葬証明書: 現在のお墓に、いつ、誰のご遺骨が埋葬されているかを証明する書類です。通常、現在のお墓の管理者(寺院や霊園の管理事務所など)に発行を依頼します。
  • (場合によっては)受入証明書: 新しい納骨先が決まっている場合、そちらから発行される「受入証明書」の提出を求められることがあります。これは、新しい納骨先がご遺骨を受け入れることを証明する書類です。

発行までの期間:

申請から改葬許可証が発行されるまでには、通常1週間から2週間程度かかります。ただし、役所の混雑状況や必要書類の不備などによって、さらに時間がかかる場合もあります。余裕をもって申請しましょう。

取得の重要性:

改葬許可証は、ご遺骨の「引越し許可証」のようなものです。この許可証がないと、お墓の管理者(寺院など)はご遺骨を返還してくれませんし、新しい納骨先も受け入れを拒否する可能性があります。必ず事前に取得してください。

4-2. 埋葬証明書

埋葬証明書は、現在のお墓に誰のご遺骨が埋葬されているかを証明する書類であり、改葬許可証を申請する際に最も重要な書類の一つです。この書類がないと、役所は「本当にそのお墓に埋葬されているのか」を確認することができません。

発行元:

埋葬証明書は、原則として現在ご遺骨が埋葬されている墓地の管理者(寺院の住職、霊園の管理事務所など)が発行します。

取得方法:

墓地の管理者に連絡し、「埋葬証明書の発行をお願いしたい」旨を伝えてください。多くの場合、所定の申請用紙に記入したり、手数料を支払ったりする必要があります。日頃からお墓の管理をされている寺院や霊園であれば、手続きは比較的スムーズに進むでしょう。

どのような場合に必要か:

主に、市区町村役場に「改葬許可証」を申請する際に必要となります。改葬許可証の申請書には、埋葬されているご遺骨の情報を正確に記入する必要がありますが、その根拠となるのが埋葬証明書です。

4-3. 受入証明書

受入証明書は、改葬後の新しい納骨先(永代供養墓、納骨堂、樹木葬、海洋散骨など)が、ご遺骨を受け入れることを証明する書類です。この書類は、改葬許可証を申請する際に、役所から提出を求められることがあります。

役割:

役所は、改葬許可証を発行するにあたり、ご遺骨が「行き場のないまま宙に浮く」状態にならないかを確認します。受入証明書があることで、ご遺骨が確実に新しい場所で供養されることが証明されるため、役所も安心して許可を出すことができます。

取得方法:

新しい納骨先を決定し、申し込み手続きを進める中で、納骨先の管理者(寺院、霊園、葬儀社など)に「受入証明書の発行をお願いしたい」旨を伝えてください。多くの場合、納骨の申し込みと同時に発行してもらえます。

改葬許可証申請時に必要となる場合:

自治体によっては、改葬許可証の申請時に受入証明書の添付を必須としている場合があります。事前に、現在のお墓がある市区町村役場に、必要書類について確認しておきましょう。

4-4. その他必要書類

上記以外にも、状況に応じて以下のような書類が必要になる場合があります。

  • 戸籍謄本・除籍謄本: ご遺骨の所有者(祭祀承継者など)と、申請者との関係を証明するために必要となる場合があります。特に、相続に関連してお墓の管理者が変わる場合などに求められることがあります。本籍地の役所で取得できます。
  • 印鑑証明書: 申請書に押印する印鑑が実印であることを証明するために必要となる場合があります。申請者の住所地の役所で取得できます。
  • 親族の同意書: お墓の埋葬者や祭祀承継者以外の方が手続きを行う場合、他の相続人や親族の同意が必要となることがあります。特に、お墓の承継者が複数いる場合や、親族間で意見が分かれそうな場合に求められることがあります。同意書には、関係者全員の実印と印鑑証明書が必要になることもあります。
  • 火葬許可証(再火葬の場合): ご遺骨を一度埋葬した後、再度火葬(再火葬)を行う場合、元の火葬許可証や、再火葬を行うための新たな許可証が必要となることがあります。これは、ご遺骨の取り出しや再火葬の手続きと密接に関わってきます。

これらの書類は、手続きを進める中で必要になった際に、慌てずに取得できるよう、事前にリストアップしておき、それぞれの取得方法や窓口を確認しておくことをお勧めします。

墓じまい・改葬で必要となる主な書類

書類名発行元・申請先主な用途
改葬許可証現在のお墓がある市区町村役場ご遺骨の取り出し・移動を許可する公的な書類
埋葬証明書現在のお墓の管理者(寺院、霊園など)現在のお墓に埋葬されていることを証明する書類(改葬許可証申請用)
受入証明書新しい納骨先の管理者(寺院、霊園、葬儀社など)新しい納骨先がご遺骨を受け入れることを証明する書類(改葬許可証申請用)
戸籍謄本・除籍謄本本籍地の市区町村役場申請者とご遺骨の埋葬者・所有者との関係証明
印鑑証明書住所地の市区町村役場申請者の実印であることを証明する書類
親族の同意書関係者間で作成他の相続人・親族の同意を得たことを証明する書類
火葬許可証役所(再火葬の場合)ご遺骨の火葬を許可する書類

5. 墓じまい・改葬の注意点とトラブル

墓じまいや改葬は、単に手続きを進めるだけでなく、将来にわたって後悔しないための重要な決断です。親族との関係、改葬先の選択、業者選びなど、様々な側面で注意が必要です。ここでは、よくある注意点やトラブル事例を挙げ、それらを未然に防ぐための具体的なアドバイスを提供します。

5-1. 親族とのトラブル

墓じまいや改葬を進める上で、最もデリケートな問題の一つが親族との関係です。菩提寺や親族の中には、先祖代々受け継がれてきたお墓を大切にしたいと考える方もいらっしゃいます。墓じまいの意向を伝える際には、まず、なぜ墓じまいを検討するに至ったのか、その理由を丁寧に説明することが大切です。例えば、「後継者がいない」「管理が困難」「経済的な負担が大きい」といった具体的な理由を共有し、理解を求める姿勢が重要となります。

注意点・トラブル
墓じまいの意向を巡る親族間の意見の相違
親族への事前の説明不足による反発
遺骨の扱いに関する意見の対立
無断での墓石撤去や改葬

対策・ポイント

  • 早期の相談と丁寧な説明: 墓じまいの検討段階から、主要な親族(配偶者、子、兄弟姉妹など)に相談し、理由を丁寧に説明しましょう。
  • 共有の場を設ける: 可能であれば、親族が集まる機会に、墓じまいに関する意向を伝え、意見交換の場を設けます。
  • 第三者の仲介: 親族間での話し合いが難しい場合は、菩提寺のご住職や、信頼できる親族に仲介を依頼することも有効です。
  • 遺骨の扱いについて合意形成: 遺骨の取り出し、再火葬、新しい納骨先について、関係者全員の合意を得ることが不可欠です。
  • 書面での確認: 重要な決定事項(特に遺骨の扱いなど)は、後々のトラブルを防ぐためにも、可能であれば書面で確認しておくと良いでしょう。

5-2. 埋葬場所の選択

改葬先の選択肢は、永代供養、樹木葬、散骨、手元供養など、多様化しています。それぞれの選択肢にはメリット・デメリットがあり、費用や管理方法、将来的なことも含めて慎重に検討する必要があります。

永代供養:

  • メリット: 墓守りの必要がなく、管理者に供養を任せられる。費用が比較的安価な場合が多い。
  • デメリット: 個別の墓石がない場合が多く、期間が過ぎると合祀されることが多い。親族が複数で利用できるタイプもある。

樹木葬:

  • メリット: 自然に還るイメージがあり、墓石の管理が不要。比較的安価。
  • デメリット: 墓石がないため、誰のお墓か分かりにくくなる場合がある。樹木の種類や場所が限定されることがある。

散骨:

  • メリット: 墓石や墓地の維持費がかからない。自然葬として人気。
  • デメリット: 法的な規制やマナーが存在する。実施できる場所が限られる。遺骨が手元に残らない。

手元供養:

  • メリット: 故人を身近に感じられる。供養の形を自由に決められる。
  • デメリット: 遺骨を自宅に保管することへの抵抗感がある場合も。永代供養などと併用することも可能。

後悔しないための選び方のポイント:

  • 将来の管理体制を確認する: 永代供養や樹木葬の場合、管理団体がしっかりしているか、将来にわたって存続するかを確認しましょう。
  • 費用と予算: 初期費用だけでなく、年間の管理費なども含めて、長期的な視点で予算を検討します。
  • 宗教・宗派の制約: 選択肢によっては、特定の宗教・宗派の制約がある場合があります。
  • 家族の意向: 最終的には、ご自身だけでなく、ご家族の意向も考慮して決定することが大切です。

5-3. 業者選びの注意点

墓石の撤去、改葬手続きの代行など、専門業者に依頼する機会が多くあります。悪質な業者に依頼してしまうと、不当に高額な費用を請求されたり、手続きが滞ったりする可能性があります。

業者選びのポイント:

  • 複数の業者から見積もりを取る: 相場を把握するため、最低でも2~3社から見積もりを取り、内容を比較検討しましょう。
  • 見積もりの詳細を確認する: 墓石の撤去費用、遺骨の取り出し費用、再火葬費用、永代供養料など、各項目が明確に記載されているか確認します。
  • 実績と評判を確認する: 業者のウェブサイトや口コミサイトなどで、過去の実績や評判を調べましょう。
  • 契約内容をしっかり確認する: 契約書の内容を十分に理解し、不明な点は必ず質問します。口約束ではなく、書面で交わすことが重要です。
  • 行政書士や専門家への相談: 手続きに不安がある場合は、行政書士や墓石・霊園の専門家などに相談することも有効です。

悪徳業者を見抜くポイント:

  • 「今だけ」「特別価格」などと、強引に契約を迫る。
  • 見積もり内容が不明瞭で、追加費用が発生する可能性を説明しない。
  • 連絡先が不明確、または電話番号が携帯電話のみ。
  • 過去のトラブル事例を隠している、または説明を避ける。

5-4. 法律上の注意点

墓じまいや改葬は、「墓地、埋葬等に関する法律」(以下、墓埋法)に基づき行われます。この法律を理解せずに手続きを進めると、思わぬトラブルや法的な問題に発展する可能性があります。

墓埋法とは:

墓埋法は、墓地、埋葬、火葬、納骨などに関する基準を定めた法律です。国民の健康や公衆衛生の維持、良好な環境の保全を目的としています。

知っておくべき法律知識:

  • 埋葬・火葬の許可: 人の遺骸や遺骨を埋葬したり火葬したりするには、原則として市町村長の許可が必要です(火葬許可証、埋葬許可証)。
  • 改葬の許可: 遺骨を別の場所に移す(改葬する)場合も、原則として、遺骨を現在埋葬している市町村長の許可(改葬許可証)が必要です。
  • 無許可での埋葬・火葬・改葬: これらの行為を無許可で行うことは、法律で禁止されており、罰則の対象となる可能性があります。
  • 墓地の管理: 墓地を使用する権利や、墓石の管理に関するルールは、各墓地の管理者(寺院、自治体など)が定めています。墓埋法と併せて、各墓地の規則も確認する必要があります。

手続きにおける注意点:

  • 必ず、現在のお墓のある自治体や菩提寺に、改葬の意向を伝え、必要な手続きを確認してください。
  • 改葬許可証は、新しい納骨先の「受入証明書」と引き換えに発行されるのが一般的です。この流れを理解しておきましょう。

これらの注意点や法律知識を理解し、慎重に進めることで、後悔のない墓じまい・改葬を実現することができます。

6. 土葬から改葬する場合の手続き

近年、土葬から火葬・改葬するケースは少なくなっていますが、歴史的な背景や特定の地域ではまだ見られます。土葬されているご遺骨を改葬する場合、通常の火葬・改葬とは異なる特別な手続きや注意点が存在します。ここでは、土葬されているご遺骨の掘り起こし(埋葬物掘削)、改葬許可の取得、そして火葬・納骨までの特殊なプロセスについて解説します。

土葬されているご遺骨を改葬する際には、通常の火葬・改葬とは異なる特別な手続きが必要となります。これは、ご遺骨が土に還っている可能性や、埋葬方法が火葬とは異なるためです。以下に、その主なステップと注意点を解説します。

埋葬物掘削許可の取得

土葬されたご遺骨を掘り起こすには、まず「埋葬物掘削許可」が必要となります。これは、墓地のある市町村の役所(または担当部署)に申請します。申請にあたっては、埋葬されている場所の証明や、掘削を行う理由などを明確に説明する必要があります。また、隣接する墓地の管理者への事前確認や、工事を行う業者との連携も重要になります。

改葬許可証の取得

埋葬物掘削許可が得られたら、次にご遺骨を火葬・埋葬するための「改葬許可証」を、現在ご遺骨が埋葬されている市町村の役所(または担当部署)で取得します。この改葬許可証は、新しい納骨先(火葬場や納骨堂など)に提出する際に必要となります。

ご遺骨の掘り起こしと火葬

許可が得られたら、専門の業者に依頼してご遺骨を掘り起こします。土葬されている場合、ご遺骨が破損していたり、土と一体化していたりすることがあります。掘り起こされたご遺骨は、そのまま火葬場へ搬送され、火葬されます。火葬の際には、火葬許可証が必要となります。

新しい納骨先への納骨

火葬後、受け取ったお骨は、あらかじめ手配しておいた新しい納骨先(永代供養墓、樹木葬、納骨堂など)へ納骨します。納骨の際には、改葬許可証の提出が求められることが一般的です。新しい納骨先の管理者には、事前に受け入れの可否や必要な書類などを確認しておきましょう。

7. 改葬後の手続き

改葬の手続きが完了し、新しい場所にご遺骨を納骨した後も、いくつか行っておくべきことがあります。特に、位牌やお仏壇の移動、新しい場所での法要、そして菩提寺や親族への報告など、供養の形を整えるための後続作業は重要です。ここでは、改葬後に必要となる主な手続きについて解説し、心の区切りをつけ、新たな供養の形を確立するためのお手伝いをします。

位牌の移動、法要など

改葬が完了したら、位牌やお仏壇の整理、新しい場所での法要、そして関係者への報告を行いましょう。これらの後続手続きを丁寧に行うことで、ご先祖様への敬意を示し、ご自身の心の区切りをつけることができます。

位牌・仏壇の移動や整理

  • 新しい納骨先に移す場合: 新しい納骨先が位牌や仏壇を受け入れているか確認し、必要であれば新しい場所へ移動します。寺院によっては、位牌堂や仏壇を設置している場合があります。
  • 処分する場合: 位牌や仏壇を処分する場合は、魂抜き(閉眼供養)を行うのが一般的です。菩提寺に依頼してお経をあげてもらい、位牌やお仏壇に宿っていた魂を抜いてもらいます。その後、専門の業者に依頼して処分します。

新しい場所での法要

新しい納骨先に納骨した際には、開眼供養(納骨法要)を行うのが一般的です。これにより、ご遺骨が新しい場所で供養されることになります。法要の日程は、納骨後なるべく早い時期に設定するのが望ましいですが、ご自身の都合や新しい納骨先の都合に合わせて調整しましょう。

菩提寺や親族への報告

改葬が完了した旨を、これまでお世話になっていた菩提寺や、ご親族へきちんと報告することも大切です。菩提寺には、墓じまいをしたこと、そして新しい納骨先について伝え、今後のご挨拶について相談しておきましょう。ご親族にも、改葬の完了と新しい納骨先について説明し、理解を得ておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。

手続き内容
位牌・仏壇の移動・整理新しい納骨先に移す、または魂抜き(閉眼供養)をして処分する。
新しい場所での法要納骨後、開眼供養(納骨法要)を実施する。
菩提寺・親族への報告改葬完了の報告と、新しい納骨先について説明し、理解を得る。今後のご挨拶についても相談する。
新しい納骨先での手続き確認新しい納骨先での管理方法や、法要の実施方法などを改めて確認する。
遺品整理・相続手続き改葬に伴い、故人の遺品整理や相続手続きの見直しが必要になる場合がある。

これらの手続きを丁寧に行うことで、ご先祖様への感謝の気持ちを表し、ご家族の心の平安にも繋がります。

8. 墓じまい・改葬に関するよくある質問

墓じまいや改葬を進めるにあたり、様々な疑問や不安が生じることでしょう。ここでは、多くの方が抱える「よくある質問」について、専門家の視点も交えながら分かりやすく回答します。手続きの疑問、費用のこと、改葬先の選び方、トラブル回避策など、読者の疑問を解消し、安心して次のステップに進めるようサポートします。

墓じまい・改葬に関するQ&A

質問・回答
Q1.墓じまいは、誰に許可を得る必要がありますか?

A1.基本的には、お墓のある霊園や寺院の管理者に相談・申請が必要です。また、お墓の承継者や親族がいる場合は、事前に相談し、理解を得 ておくことが非常に重要です。無断で進めると、後々トラブルの原因となる可能性があります。

 

Q2.改葬する際、ご先祖様のお骨はどのように移動するのですか?

A2.ご遺骨は、骨壷に納められた状態で、新しい納骨先へ移動するのが一般的です。移動の際は、ご遺骨を丁寧に扱い、移動中の破損や紛失がないように注意が必要です。業者に依頼する場合は、輸送方法なども含めて確認しておきましょう。

 

Q3.墓石の撤去費用は、どれくらいが相場ですか?

A3.墓石の撤去費用は、墓石の大きさ、材質、設置場所の状況、石材店によって大きく異なりますが、一般的には10万円~30万円程度が相場とされています。ただし、墓石の解体だけでなく、基礎工事の撤去なども含めると、さらに高額になる場合もあります。

 

Q4永代供養とは何ですか?墓じまいとどう関係がありますか?

A4.永代供養とは、お寺や霊園がご遺骨を永代にわたって供養・管理してくれるサービスのことです。墓じまいをしてご遺骨を取り出した後、永代供養墓や合祀墓などに納骨するケースが多く、管理者がいるため、後継者がいなくても安心してお墓の管理を任せられます。

 

Q5.散骨はどこでもできますか?法的な問題はありますか?

A5.散骨は、法律上は禁止されていませんが、節度を持って行われる必要があります。公共の場での散骨や、ご遺骨をそのままの形で撒くことはトラブルの原因になりかねません。自治体によっては条例で規制している場合もあるため、事前に確認が必要です。海洋散骨など、専門業者に依頼する方法もあります。

 

Q6.手元供養とはどのようなものですか?

A6.手元供養とは、ご遺骨の一部を、自宅に置ける小さなお墓(ミニ骨壷)やアクセサリーなどに加工して身近に置いて供養する方法です。故人を身近に感じたい、という方に選ばれています。

 

Q7.墓じまいや改葬で親族と揉めてしまった場合、どうすれば良いですか?

A7.親族とのトラブルは、墓じまいや改葬において最も避けたい事態の一つです。事前に十分な話し合いを行い、理解を得ることが大切です。もし話し合いがうまくいかない場合は、中立な第三者(弁護士や行政書士など)に相談することも検討しましょう。

 

Q8.遺骨の入ったお墓を撤去する際、閉眼供養は必ず必要ですか?

A8.閉眼供養(へいがんくよう)は、ご先祖様のお魂を鎮め、墓石に宿る仏様を「仮の世」へお送りする儀式です。墓石を撤去する際には、これまでの感謝を込めて行うのが一般的ですが、必須かどうかは宗派や地域、ご家庭の方針によって異なります。お寺や石材店に確認し、ご自身の考えに基づいて判断してください。

 

Q9,.改葬許可証は、どこでどのように取得できますか?

A9.改葬許可証は、現在お墓がある自治体の役所(またはその委託業者)で発行されます。改葬したい旨を伝え、現在のお墓の管理者(寺院や霊園)から発行される「埋葬証明書」などを添えて申請します。手続きに不安がある場合は、役所の窓口で相談することをおすすめします。

 

Q10.業者に墓じまいを依頼する際、注意すべき点はありますか?

A10.業者に依頼する際は、複数の業者から見積もりを取り、料金体系やサービス内容をしっかり比較検討することが重要です。安さだけで決めず、実績や評判、担当者の対応なども確認しましょう。契約内容をしっかり確認し、不明な点は必ず質問してください。また、過去のトラブル事例などを参考に、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。

福岡市 改葬許可申請書

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